「歴史と環境を学ぶ会」報告書
 
 今回の「歴史と環境を学ぶ会」は昨年に続き2月26日に京都で行いました。
 歴史については古建築の鹿苑寺(通称金閣寺)と石庭で知られる龍安寺を見学し、環境としては京都の町屋を見学し講義を受けました。 

 午前中、環境について町屋をテーマに講義を受けました。講師は京町屋情報センターの寺事務局長で住まいの工房の松井代表にお願いをしました。最初に京都の工務店の集まりである作事組のある町屋で説明を受けました。ここでは町屋再生の歴史、今後の町屋活性化の方針をお聞きしました。話の中で、ここにある建具、畳はモジュールが決まっていて、どこの町屋へ持っていっても建具、畳が利用できるとのことであり、一つの町屋を解体し、その材料が転用できるという資源の有効利用が行われていました。建物の再生、又、現在の省資源、リサイクルを行う為の有効活用のヒントになるのではないでしょうか。
 次に、よし屋町の京都府建築工業協同組合の理事である木村棟梁から町屋再生の実務の方法、現状の話しを聞きました。話しを聞いていた町屋は老朽化し改修されていました。改修を行う際に若い職人様たちによって再生されたとのことでした。技術の伝承を行う為に木村棟梁が経験の少ない若い職人様たちを集め実習しながらの工事だったそうです。又、改修を行う上で、町屋の特徴である暗い、寒い、を克服する為、昔の煙出しの部分にハイサイドライトを設け、床には床暖房が施されていました。町屋を長く使いつづける為、良いところは残し、現代風に工夫されたところに感銘を受けました。

 午後は古建築を見学しました。三代将軍足利義満により1398年に建立された金閣寺の仏殿と特別公開の西の庭。造営後約600年が経ち1950年に一度焼失したものの再建され現在に至っています。その美しさは写真で見るよりも一段と美しいものでした。豪華絢爛な北山文化を感じました。
 また、1600年代に造られた龍安寺の石庭(虎の子渡し)については、建築的な造営において油土塀、15個の石の配置で遠近法を駆使し広い空間を造っています。この時代に西洋で使われた遠近法が日本にもあったことが驚きと素晴らしさを感じました。又、この作者は小堀遠州?との一説もありミステリアスな空間でした。

 最後に町屋について講義をしていただいた松井代表、木村棟梁、そして、今回の研修の準備に手数をおかけしました住まいの工房の大森様に感謝いたします。有難うございました。
  
株式会社 黒田建築設計事務所  戎 孝之

 
タイトル 「歴史と環境」を学ぶ会
日  時 平成 17 年 2 月 26 日( 土 )  8:45集合 9:00〜18:30
集合場所 JR三ノ宮駅南、東急インホテル前(観光バスにて移動)
見学場所 1,京都 町屋見学
2,鹿苑寺 金閣
3,龍安寺(方丈庭園)
行  程
9:00  三ノ宮 出発  阪神高速、名神高速道路経由で京都へ
11:00〜12:30 京都下京区 到着  町屋見学
12:30〜13:30 昼食 (会場は未定)
14:00〜15:30 鹿苑寺到着 金閣 見学
16:00〜17:00 龍安寺到着 方丈庭園 見学
17:00〜 移動
18:30 三ノ宮 着 解散
参加員数 25名
参加費用 会員−5,000円   非会員−8,000円

 「歴史と環境を学ぶ会」
    
よし屋町屋にて木村棟梁の説明 よし屋町
 
西の庭にて 鹿苑寺金閣
 
龍安寺にて 龍安寺の石庭
 
 
 
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