PANEL47 平成29年4月発行

会員の皆様方には建築士会活動にご支援をたまわり厚くお礼申しあげます。
さて、2016 年度の我々を取り巻く話題はたくさんありました。世界的には、英国のEU離脱、テロ頻発、北朝鮮の脅威、トランプ旋風、等々今までの常識では考えられなかった様な事が起こって います。日本では度重なる災害が発生しました。4月には熊本地震、10月には鳥取中部地震、11月には博多の道路陥没、12月には糸魚川で大規模火災、などなど、建築の安全・安心をめぐる問 題が立て続けに発生した一年でした。また、五輪施設見直しや杭偽装問題、移転延期が9月に決 まった豊洲市場問題などで建築界に対する社会の目が厳しくなり、いかに建築の安全性を高めていくかが我々建築士に問われております。
一方では、訪日外国人急増、空き家急増といった都市問題を解決しようとする動きも始まってきました。空き家急増の背景には、日本は世帯数を大幅に超えた住宅がすでにあり、空き家が右肩 上がりに増えているにもかかわらず、将来世代への深刻な影響を見過ごし、居住地を無差別に広 げながら、住宅を大量につくり続ける住宅過剰社会であるという事実があります。7~8 年経つと人口の5%を占める団塊世代が75 歳以上となり、後期高齢者の割合が一気に20%近くにまで膨れ 上がり、さらに7~8 年経つと3 戸に1 戸が空き家という将来が待っています。こうなると不動産が 「負動産」化して資産としての住宅の有用性が根本から揺らぎ始め、住宅が資産とされたこれまで の時代とは全く異なってくるという事実があります。
住宅過剰社会からの脱却に向けて、私たちは、空き家を減らす、中古住宅の流通を促進する、 市場に依存しすぎた新築住宅中心の市場から転換することが不可欠です。すでにある住宅のリノ ベーションや建て替えをし、住宅の質を市場性を持つレベルに高めたうえで、住宅市場に流通さ せていくことが必要です。来年からは中古住宅の売買取引の際の重要事項説明書に、インスペク ション(建物検査)の有・無を記載するとともに、宅建士がその旨を説明することを義務付けること となりました。このような状況に対応するためにも、我々建築士が力を合わせて安全・安心も含め た住宅の質の向上に努力する必要があります。建築士会神戸支部では講習会、見学会、セミナ ー、耐震診断等々を通じて建物の質の向上に寄与するべく努力しております。
最後になりましたが、神戸支部では総務委員会をはじめ、研修委員会、青年部会、企画委員会 の各委員会でいろいろな事業活動をしています。来年度も今まで以上に魅力ある事業活動を計 画していこうと頑張っておりますので、ぜひご参加ください。これからも皆さんと一緒に力を合わせ て神戸支部の活動を盛り上げていきたいのでご協力のほどよろしくお願い致します。
以上

平成29年3月23日 前川象二郎支部長挨拶より

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